沖縄総合事務局のあり方

上里ただし

2011年07月12日 23:06

本日、沖縄県議会の沖縄振興に関する特別委員会が開かれ、私は、7月1日に行われた国のアクション・プランにおける沖縄県の意見について質疑をいたしました。アクション・プランとは民主党政権が進める地域主権改革の一端で、国の出先機関廃止に向けた取り組みです。沖縄で言うと、沖縄総合事務局のあり方となるでしょう。

沖縄県の沖縄総合事務局についての県の見解は、私が県議会議員となったばかりの3年前には、
「国と県にはそれぞれの役割があって…」といい方でした。つまり、国の出先機関に物を申すということはしないし、言わないというような見解でした。

それが、2年前に政権交代を果たした後は、「これまでは一定の役割を担っていたが、現在は県と同じことをやる場合もある」と踏み込み、「将来的にはなくなるのではないか」と予想されておりました。

それが地域主権戦略会議が進める「アクション・プラン~出先機関原則廃止に向けて」が昨年末に出されると、これに「同意」をする姿勢を見せ、さらには先々週の会議では、その事務・権限の移管を要請するまでになりました。私にとっては随分思い切った判断をしたと見ていますし、担当する片山大臣も沖縄県の姿勢の変化を感じ取り、概ねその方向で取り組むようであります。

沖縄総合事務局を含む国の出先機関の廃止の方向は、民主党のマニフェストにも地域主権改革への取り組みとして大きく掲げられています。国と県との二重行政を廃止し、国家公務員の人員を減らすというのが民主党政権の方向性です。自民党政権下でも取り組んでいた地方分権改革の流れをさらに加速したものであり、国の地方の役割分担、地方における地域経営への国の関与など今後一層改革が進んでいくものでしょう。沖縄においては行政改革の観点からだけでなく、沖縄県のことは沖縄県で決めていくという統治のあり様(ガバナンス)から見ても、県に事務・権限の移譲というのは必要な施策だととらえております。

当然、他の委員も私と同じ意見かと思いきや、委員の皆さんの反応が思った以上に正反対でしたのが、意外でした。現在、沖縄県知事から国の沖縄政策協議会に対して提案している5項目の制度骨子案に入っていることから、私は沖縄県議会でも一致して賛成されるのかと思っていましたら、県政の野党の皆さんから「持ち帰って検討したい」との意見が出され、この議会で意見をまとめることはできませんでした。

沖縄県ですらようやくこの機会に、これまでの沖縄総合事務局のあり方への見解に大胆に修正を加えたばかりなので、議論を交わしていないのはよく分かります。しかし、だからと言って現状を見ても、将来的にもこれらの出先機関に対して政治の方向がどのように動くかということは沖縄県議会として持たなければならないのであります。

この問題についての県議会は、これまで出されておりませんが、沖縄県のガバナンスのあり方や国直轄事業へのあり方をどのような方向にするのかということで、その対応を試されているように思えます。