沖縄県近現代資料館構想

上里ただし

2011年07月02日 18:28

なんだか沖縄県知事選挙のマニフェストに出てきそうな名前の構想ですね。


昨日の沖縄県議会一般質問で、新垣安弘県議会議員から、「県民が誇れる偉人の記念館のような顕彰施設は県内に何カ所あるか」という質問が出されました。この質問項目を見たときに、新垣代表と同じ地元で東風平出身の謝花昇の顕彰施設の建設を促しているのだろうと予測しましたが、その通りでした。


謝花昇は沖縄における自由民権運動の旗振り役を担い、当時の県知事からも疎まれていた人物です。しかしながら沖縄県民からでさえ支持が得られず、最後は精神的に追い詰められて亡くなってしまうという悲劇の人物です。新垣代表はこの東風平出身の謝花昇が訴えてきたことやその功績を県民にも知っていただきたいということをかねてから訴えておりました。今度の議会での質問では、ストレートに訴えておりましたが、芳しい反応は返ってきませんでした。

あまりにもストレートすぎる質問でしたので、答弁をした教育長や県知事も答えづらかったのでしょう。私も答弁者でしたらある特定の個人をとりあげて顕彰施設を作るよう促されたとしても、答えることは難しいでしょう。ただ、新垣代表の思いもよくわかります。沖縄にはとりわけ近現代に活躍した人物の功績をなぞらえるような施設はありません。このブログで取り上げた世界的にも評価されてもおかしくない、山之口獏の顕彰施設もないくらいなので、私自身も新垣代表と同じ気持ちになります。

琉球王国時代や琉球処分後の沖縄県発足当時の沖縄には沖縄の将来を憂え、現状をなんとか打破しようとした方は数多くおります。こうした方の出身地には顕彰碑や銅像が立っていることもありますが、それにしてもその事績を誰もが見聞きできるようにすべきでしょう。
このことは沖縄県や県民が未来を切り開こうとする際に、歴史を紐解き、過去の先達がどのような思いで沖縄の課題を向き合ったかを知る空間は是非とも必要でしょう。その意味でも沖縄県近現代研究所か資料館が必要です。この構想は何も沖縄だけの構想でもありません。私がかつて訪れた石川近現代文学館も近現代に活躍した文学者の顕彰をされている施設でしたが、何度でも訪れたくなるような施設で、その施設で顕彰されている人物を調べようとするならば訪問しなければならない施設となっております。

それを考えるとやはり沖縄県が建設し、近現代に活躍した先人たちの事績を紹介または研究する施設が必要です。名称や施設のあり方はこれから議論することとし、是非、実現してみたいものです。