大震災と役所の仕事
今日、民主党沖縄県連の全議員と役員が集まる県連会議で、被災地から沖縄県に避難をしてきた方から、直接ご意見をお聞きしました。
この方は津波で自宅と店舗が壊滅的な状況となった上に、福島第一原発の近隣で住んでいて放射能漏れの危険を感じ、沖縄に避難をされてきました。
ただ、政府が決めた30キロ圏を超える地域からの避難であるため、行政のいわゆる「被災者支援」の枠から外れてしまっていることで、必要な支援が受けられていないことも分かりました。
被災者を受け入れようとしている沖縄県のとある行政機関ですら、親切に対応してくれなかった体験をお話をしていただきました。
ある支援を受けようと申請に行くと、
「罹災証明を提出してください」
と言われたようです。この方は被災証明の写しは持っていて提出しましたが、
「これでは対応できない」「罹災証明を持ってきてからしか対応できない」
と伝えられ、支援を受けられなかったようです。
原発事故があって、急いで避難をしたため、役所に罹災証明の申請ができなかったことが、その書類を持っていない理由ですが、遠く離れた地域に、それも支援が必要な
人間に書類を持って来て下さいという役所の仕事は、本当に人を助ける仕組みにはなっておりません。
被災された方の思いを聞いてみたり、実際の対応を見るとそう感じるのでありますが、実際、役所の職員ですらそのことを感じています。
被災者が困っているのに手を差し伸べられない理由として、一つ一つの業務が法や条例を根拠にしており、これらに当てはまらないからであります。では、当てはまるようにすればいいのに…、と思うのですが、それがなかなか進まない。災害復旧のとりわけ道路、港湾、鉄道などの公共インフラはずいぶんと進んでいるようですが、被災者の生活再建支援にはなかなか進んでおりません。それが実際の法律との整合性が役所の職員の気持ちと行動を遅らせているわけです。
それを解決するためにも、特定した地域やそこで被災された方に更なる支援を現行法で考えられる全ての方法で早急に考えるべきです。とりわけ生活再建支援にはありとあらゆることを講じなければならないのですが、複数の被災者世帯に一人程度のいわゆる「ケア・マネージャー」を配置してもいいのではないでしょうか。もちろん介護に特化したものではありませんが、災害時の生活支援を全面的にサポートする体制が必要です。現在でも出先機関の国家公務員が被災した自治体に派遣されているようですが、かなり大々的にやるべきでしょう。また、現行の法律や事業で適応できると考えられるのは、沖縄県でも先進的に取り組んでいる就労と生活支援を同時に行うパーソナル・サポート事業を展開してみるのもいいかもしれません。
就労が満足いかず、それによって生活が安定しない方へのサポートを被災者を支える目的で幅広く展開してみてもいいのではないでしょうか。とにかく専門的な人が被災地には必要ですし、被災地だけでなく受け入れ自治体にも必要です。今回のような大震災に対応する専門家は世の中にはほとんどいないでしょう。ましてや何年かに一回、異動する公務員の方でそうした専門家がいないのも当然です。だからこそこうした大災害時には、公務員の皆さんが主導するのではなく、「困ったことを助ける専門家」を召集し、どんな事態にでも対応できるように協力関係を築いてもらえるようにしなければなりません。
その協力関係を築くために、役所がやらなければならないことは、迅速に行動して各団体や専門家に協力を求め、そしてその団体や個人が活動しやすいように、お金を出すことではないかと考えています。
被災地以外の全国の市長や県知事には、役所における本来の仕事と大震災時の仕事をもう少し見直して、「どうすればわが地域が役にたつのか」というのをもっともっと考えていただきたいと思います。もちろん私を含む議員も同じです。他人事ではないという気持ちを持ちつつ、まだまだ支援が必要だという意識を持って活動してまいります。